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Shaw(2008)の陥穽① [taxonomy]

 Bryo-maniaな人達が一度は目にするであろうShaw(2008)の論文?は葉縁に不定芽(bulbilタイプ)を形成するKalanchoeについてまとめたもので、迷宮に落ちたマニア達に光明をもたらしたに違いない。しかしながら残念な部分も多く、誤った認識を広めるのにも一役買ってしまっている。今までこの論文を拠り所としてきた迷える者の一人として、今回からこの文に切り込んでみたい。

 最初に論文についてさっと紹介しておく。
論題:An investigation of the cultivated Kalanchoe daigremontiana group, with a checklist of Kalanchoe cultivars
掲載誌:HANBURYANA 3: 17–79, 2008
 前半は葉縁に不定芽を形成するカランコエ、即ちBryophyllum節を種別に解説し、後半は栽培品種の一大カタログ(但し図や写真はない)となっている。切り込みたいのは、この前半部分のみである。
Bryophyllum節パートは最初に検索表がありその後に各種説明が続くが、取り上げている種は私が子宝草目録で紹介しているところのBulbilliferaeとラウイのみであり、その他のロゼイの変種には触れていない。

先ずは検索表について言うと、同じ品種が検索の前の方と後ろの方で重複して出てきたりして面食らう。私の扱ってきた動物群では見たことのないシステムに違和感を覚えた。多分、植物でもこれは「なし」なのではなかろうか。またどうしてこの品種がここで落ちているのに、シノニムが全く別な所で出てくるのか、この検索表を使う者は迷いを感じるだろう。更に間違いもあると思えるので、あまり使えないものではあるが、このグループの検索表を作成したこと自体は画期的で、その点だけは評価している人も多いと思う。

 では本文の順に従って扱っている種の解説文に踏み込んでみたい。知識という面で学ぶところは多いが、盲従してしまうととんでもない間違いをインプットされてしまう。しかし論文自体がひどいものではないので、その点は誤解なきようお願いしたい。

□Kalanchoe daigremontiana
 最初はシコロベンケイについての説明である。この植物には次の2つの品種(?)があるとしている。この品種名はShawがここで名付けたものである。追随している論文等は知らない。
① Old Hat:園芸的に知られるシコロベンケイは、最近までこの品種のクローンが全てであったとしている。
② Felley Priory:近年マダガスカルから導入されたもので、RHS関係のナーセリーで見られたという。
 この2つの品種の違いは、
1.葉の基部で裏側の斑が途切れない帯を形成する(Felley Priory)か、しないか(Old Hat)。
2.強光の下での葉色が明るいグリーン(Old Hat)か、茶色がかったオリーブグリーン(Felley Priory)か。
としている。

 しかしながらシコロベンケイを育てていると分かるが、これは単なる個体差のように思える。しかも遺伝的な差異ではなく環境要因により成長過程で生じる差異である。Shawは多肉マニアにはおなじみであろうSajeva et Costanzo(2000)“ SUCCULENTS Ⅱ”の172頁にあるシコロベンケイKalanchoe daigremontianaとしている2枚の写真のうち、6007番の写真のものがFelley Prioryと思われると述べている。しかし、この写真の個体は一般的に見かけるものと同じである。ちなみにもう一枚の写真はシコロベンケイではなく、Kalanchoe ×houghtoniiである。
 以前にも子宝草目録で紹介したように同じ個体から得た不定芽を育てても、日照や用土の違いで葉色や葉形は異なったりするが、Shawはこの違いを自然交配による形状のバラつきと見ている節がある。勿論、過去に紹介したようにハイブリッドも存在していることは承知しているが。

葉の色と形状は同じクローンでも生育環境によって異なる
daigremontiana leaves.jpg 

また光環境によってライトグリーンやオリーブグリーンとなる
コダカラベンケイIMG_0657.JPG 
コダカラベンケイPB060665.JPG 


 私の結論としてこの2品種は同一と見做して、考えないことにしたい。これに比べたら以前紹介した(細葉のものではなく)長葉のものや、分布の北部で見られるという小型帯粉型のものの方が余程別品種扱いの価値があると思う。

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温室のカランコエ;強羅公園・ブーゲンビレア館 [others]

 ここ1年間に訪れた温室は殆どなく、ブログにも1件しか書かなかった。それも寂しい気がするので、敢えて書くまでもないと思っていたが、強羅公園の温室でもカランコエを見たので一応記録として残しておこうと思い直した。
 強羅公園は箱根の登山鉄道とケーブルカーの駅がある強羅からほど近く、公園(有料)内に4棟の温室がある。それぞれ熱帯植物館・熱帯ハーブ館・ブーゲンビレア館・イベント館となっているが、訪問時は前の3館しか入ることは出来ず、その内ブーゲンビレア館でのみカランコエが見られた。
 勿体ぶってここまで引っ張ってしまったが、見られたカランコエは実際のところウェンディとセイロンベンケイソウの2種のみであった。

 ブーゲンビレア館では、通路わきの植え込みに混じってウェンディが2ヶ所にあった。地植えのウェンディは初めて見たが、枝ぶりや葉の状態など販売されているものと変わらぬ品質であった。導入後まもなく地植えになっているだけなのかもしれない。植え込みの植物に鉢花育成者並みの手入れをしている可能性もなくはないが。
 もうひとつのセイロンベンケイソウは、10数年前にここを訪れた時に何かの鉢の片隅にひっそりとあったのを覚えている。今回は、やはり片隅ではあるものの地植えであった。そのためか大型に育っていて頂芽近くでは複葉になり、なかなか良い感じだった。

 まさかこの2種のカランコエを見るためにわざわざ訪れる人はいないと思うが、記録として残しておきたい。

強羅公園入口
IMG_8277.JPG 
期待をそそる温室の外観
IMG_8120.JPG 
ブーゲンビレア館入口
 IMG_8213.JPG
高品質の地植えウェンディK.‘Wendy’
IMG_8228.JPG 
本来の複葉になっているセイロンベンケイソウK.pinnata
IMG_8247.JPG 
落葉から発芽している

IMG_8240.JPG

タグ:強羅公園
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アラビアン・カランコエ [taxonomy]

 カランコエというと花も多肉もマダガスカルのイメージが大変強く、それにチラホラとアフリカ大陸産の多肉が加わる程度で、アジア・アラビア産は種も少ないし一般的でもないので栽培されることが少ない。
 アラビア産カランコエでいうと唯一例外なのは、ファリナケアである。これは花卉とも多肉とも言える小型種でソコトラ島産である。一般的なカランコエと異なり短日植物ではない。自生地の写真を見ると岩の隙間で乾燥と陽射しに耐え忍んで生きながらえているように見える。ということで家では以前は他種よりも乾燥気味にしていたが、花咲き具合など乾燥してもしなくてもあまり変化はないかもしれない。

 さてMiller et Cope(2009)の“Flora of the Arabian peninsula and Socotra vol.1”によるとアラビア半島およびソコトラ島(イエメン)には以下の13種のKalanchoe属が分布している。
・Kalanchoe citrina
・Kalanchoe crenata
・Kalanchoe glaucescens
・Kalanchoe laciniata
・Kalanchoe lanceolata
・Kalanchoe rotundifolia
--------------------------------------------------------------------------------
・Kalanchoe alternans
 Kalanchoe alternans v. lanceolata
・Kalanchoe bentii ssp. bentii
・Kalanchoe deficiens
 Kalanchoe deficiens v. glabra
・Kalanchoe farinacea
・Kalanchoe robusta
・Kalanchoe yemensis
--------------------------------------------------------------------------------
・Kalanchoe sp. (K. sabaeaに似た未記載種)

 このうちアフリカ大陸との共通種は点線から上の6種、アラビア特産種が下の6種+2変種である。未記載種は何とも言えないので除くとして、その他12種中ロツンディフォリアKalanchoe rotundifolia、ファリナケアKalanchoe farinacea、Kalanchoe robustaの3種はソコトラ島産である。Kalanchoe rotundifoliaは大陸との共通種なのにソコトラ島にしか見られないことから、帰化植物である可能性も示唆されている。
 ネット検索するとアラビア特産の6種全てが趣味の世界で知られているが、Kalanchoe deficiensの基変種とKalanchoe alternans v. lanceolataは見られないようだ。我が国にもそこそこ入ってきており、確認できなかったのは上記の他Kalanchoe yemensisとKalanchoe robustaである。但し、Kalanchoe robustaは最近ISIで頒布している。国際多肉植物協会はISIと連携しているようなので、私が知らないだけで出回っているかもしれない。

 アルテルナンス(オルタナンス)Kalanchoe alternansとKalanchoe deficiens v. glabraもISIで頒布した種である。通販で購入した某氏のところで開花したため、独特なねじれた花弁から本種であると同定できた。Kalanchoe deficiensはKalanchoe integraとシノニムで現在はKalanchoe deficiensの名が残っている。10年ほど前までリュウキュウベンケイソウもKalanchoe integraと呼ばれていたが、以前記事にしたように現在は別種Kalanchoe spathulataの基変種とされている。リュウキュウベンケイソウは黄花であるが、Kalanchoe deficiensは赤花である。
Kalanchoe bentiiも国内にて通販で売っているのを見たことがあるが、高価だったので手を出さなかった。別亜種にKalanchoe bentii ssp. somalicaが知られ、その名のとおりソマリア産なので上記のアラビア産リストには入れていない。Kalanchoe bentii自体は国内では希少であるが、キューエンシスKalanchoe×kewensisの片親であると言えば若干身近に感じられる。

Kalanchoe alternansは変種も含めてサウジアラビアとイエメンに分布し、Kalanchoe deficiensの2変種、Kalanchoe bentii ssp. bentii、Kalanchoe yemensisも全てイエメンに分布している。ソコトラ島もイエメンなので、Kalanchoe robustaとKalanchoe farinaceaを含めてアラビアン・カランコエの全種がイエメンに産する。他のアラビア半島の国では僅かにKalanchoe alternans v. alternansがサウジアラビアに見られるのみである。

 アラビアン・カランコエは種類も入手の機会は少なめであるが、なかなか個性的な面々であるし花も独特なものがあるので、個人的には惹かれるものがある。


アラビアンの定番ファリナケアKalanchoe farinacea
Farinacea PA240580.JPG 
Kalanchoe deficiens v. glabraは特徴なきカランコエかな?
deficiens var. glabraIMG_5180.JPG 
アルテルナンスKalanchoe alternans基変種
alternans IMG_1234.JPG 
Kalanchoe alternans v. lanceolata(原記載Raadts, 1972より)
IMG_6896.JPG 
アフリカ大陸との共通種Kalanchoe glaucescens
glaucescensIMG_7807.JPG 

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Kalanmaniaを名乗る日 [others]

  カランコエマニアを目指して当ブログを始め早5年、その間色々と知見や栽培種が増えた。まだまだ分からないことだらけだが、最近ふと、そろそろマニアを自称しても良いのではないかと思った。
  以前、動物の趣味のときはマニア視されるのが嫌でホビィストを名乗っていた。それはその頃世間一般にマニア=コレクターと見る風潮があって、「動物はコレクションするものではない」という信条からマニア呼ばわりされるのを良しとしなかったのだ。しかしいつの頃からだろうか、私の分野にもマニアと称する人々が現れ始めて不正確な情報を世に流すようになった。
 そこで私はマニアならここまで知っていて当然だろうというレベルの情報発信を始め、(身内の中で)マニア宣言をした。同時にマニアとしての要件を設けた。それは勿論自分に対しての基準であって、他人を縛るものではない。そのときの要件は以下のようなものである。

1.対象群に関する知識;
分類・生態・地理的分布・生理・行動・病理・研究史etc.
文献コレクション
関連学会入会

2.飼育技術と経験(植物では栽培技術)
繁殖成功
生体or標本の所蔵

3.フィールドワーク
生息地での探索・観察(植物では自生地)

4.情報発信
雑誌記事・書籍等の執筆

 これをカランコエに当てはめると「関連学会入会」はやめておこうと思う。動物では欧州を中心に10団体の学会に所属し、その他の研究会・愛好会にも属していたが、カランコエに関してはそれに特化した団体はない。カランコエ目当てで植物分類学会に入るのも辛いし、the British Cactus and Succulent Societyも年刊のBradleyaにカランコエの論文が載ったときだけ購入すれば済む。そしてweb上のグループには属したのでクリアしてることにしようと思う(こじつけだとは思うが)。
 そして4.についてはトップマニアを目指すわけではないので、割愛したい。このブログでも日本語の情報として出版されたことのないものは載せているし。
 それ以外の項目については取り敢えず曲がりなりにもクリアした。
 というわけでかなり無理やりではあるが、今日から私はカランコエマニアを自称したい。
 しかしまだ先は長いので、ブログのタイトルはこのまま継承したい。

IMG_3969.JPG

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木本性カランコエの室内越冬 [cultivation]

 個人の好みの話でいうと子宝草の次に前回紹介したLanigeraeグループに属している木本性カランコエが好きである。このグループの小型種(月兎耳・福兎耳・ロンボピロサ)は一般的には人気が高そうだが、個人的には木本の方に興味がある。大体月兎耳は色々なタイプがもてはやされているが、文献的な根拠がなく不透明過ぎるので身が入らないのだ。
 話を戻して木本性カランコエだが、成長が遅い上に鉢植えとはいえ背はそこそこ伸びる。現在ベランダでフレームの棚に並べてカランコエ栽培しているのだが、背の高いものは冬にフレームにビニールをかけるとき、どうしても入りきれなくなってしまう。仕方なく他の背丈がある種と共に室内に持ち込むことになる。
 すると家族の冷視線という障害はともかくとして、絶対的な光量不足で(特に木本性は)ひどい状態になる。過去に何度か書いた様にカランコエは光が不足すると葉が丸まったり、更には葉柄部分から下方へ曲がって葉が垂れ下がってしまう。この葉柄から垂れ下がる現象はキンチョウや不死鳥などでも顕著で、最初は原因が分からなかった。園芸店に相談した時も、室内に入れると温度・湿度など微妙に環境が変わるのではないかと言われた。
 そのうち同種の植物をベランダのフレームで越冬させた場合は同現象が起きないことから、温度・湿度よりも光が怪しいと思い当たった。その後、冬の鉢をいろいろ動かしてみて光量不足原因説は確信に至った。
 自分の栽培状況では諸々の環境要因で解決のしようがないことは分かっている。何かのはずみで栽培数が減ったときは、できるだけ戸外で光の当たる環境を与えて植物の健康状態を維持したいと思う。一度下垂した葉は元に戻らないので、見栄えの維持ということもある。

室内で下垂したベハレンシス・ヌーダK. beharensis
ベハレンシス・ ヌーダ PC140394.JPG 
2週間室内に入れただけのアルボレスケンスK. arborescensも既に下垂し始めている
アルボレスケンスIMG_5802.JPG 

 下垂に加えて木本性カランコエの場合、特に特にベハレンシス、アルボレスケンス、ディンクラゲィ、ヴィギエリを室内に入れると、下垂だけに留まらず落葉してしまう。ベハレンシスとアルボレスケンスは下の方の葉からカラカラに脱水していき、干からびて枯れ落ちる。ディンクラゲィやヴィギエリは葉が黄変して透明感が出てきて、触れるとはらりと落ちる感じである。古い葉が黄ばんでポロリと取れてしまうのはカランコエ一般に見られる現象であるが、この場合は葉が殆ど無くなってしまうところが些か過激である。こうなると成長の遅い種だけに翌年回復するのがなかなか難しい。
結論として木本性種は草本性種より光が必要なので、冬季の室内では 陽当たりの良い窓際において、日中は出来るだけ室外に出してあげるのがベターということになる。

下葉が干からびて枯れ落ちるベハレンシス・ヌーダK. beharensis
ベハレンシス・ ヌーダ  P3070042.JPG 
アルボレスケンスK. arborescensも下葉が枯れている
アルボレスケンスP1080255.JPG 
一冬越したディンクラゲィK. dinklageiは葉が殆ど落ち、
ディンクラゲィP5180342.JPG 
ヴィギエリK. viguieriなんぞは葉が1枚しか残っていない
viguieriIMG_3768.JPG

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