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万寿咲き!モアフラワーズ!! [flowers]

 このブログのタイトルに写真を使っているカランコエ・パリKalanchoe ‘Paris’ はデンマークのクヌート・イェプセン社のヒット作だ。結構前の事だが、2009年にIPM ESSEN(世界最大級の園芸見本市:ドイツ)で新品種鉢花部門の大賞を受賞したとのことで、他にも欧州で賞を受賞している。この花が牽引したのか、単に最近の流行なのか街の花屋さんにも様々な種の緑色の花が増えている。

 クヌート・イェプセン社はクイーンシリーズのラインナップが充実しており、一重のオリジナルOriginals、八重のクイーン・ローズRoseFlowers[レジスタードトレードマーク]、多肉のクイーン・グリーンQueen[レジスタードトレードマーク] Green、それにパリを初めとするモアフラワーズMoreFlowers[レジスタードトレードマーク]といったシリーズがある。

 モアフラワーズのコンセプトは、
Queen[レジスタードトレードマーク] MoreFlowers[レジスタードトレードマーク] are simply designed to give more of everything ? more class, more style, more passion and more indulgence. Extravagant eye-catching blooms adorn these charismatic plants for week after week. A special gift for that special someone.
となっている。

 2017年8月現在のラインナップはパリParis(グリーン)・ピンクパリPink Paris(ピンク)・ギタGhita(ピンク)・エレンEllen(ホワイト)の4種だが、昨年までアップされていた赤花のマドリッドMadrid(アフリカン・マドリッドAfrican Madrid)は今年も日本国内では販売していた。更に以前は白花のアップルブロッサムApple blossomや桃色花で花が長くなるフォーエバーピンクといった品種もあった。また、ピンクパリを購入した時についていたタグには黄花のサリーという品種が載っていた。

 このモアフラワーズは人工的だと思いつつも惹かれるものがある。花にやたらと花弁が多い。もしかしてMore flowersの本当の意味は、コンセプトとは関係なくMore petals(花弁)なのではないかと訝しんだりしている。花カランコエは1930年代初頭に仏の探検隊がマダガスカル北部のツァラタナナ山で採集した原種Kalanchoe blossfeldianaを元に、様々なカランコエ属の種と交配して多様性のある品種が生み出されている。(但し下垂型の花カランコエは別系統)。

 カランコエ属はベンケイソウ科の中でも特徴的な4枚の花弁を持ち、K. blossfeldianaも例外ではない。花は小さいが品種改良の過程で4倍体の大型の花が作出された。今でも一重咲きの品種に小さな花と大きな花があるのは、原種の花のサイズの系統と4倍体の系統であろう。
 やがて突然変異の二重咲き(ダブルフラワー)が現れ、更には八重咲きの品種が作られた。現在では八重咲き品種も隆盛を極めて普通のものとなり、更には万寿咲きとも言えるモアフラワーズの出現に至っている。しかし万寿咲きがクヌート・イェプセン社の専売特許というわけではなく、フィデス社のカランディーバ・シリーズでも以前から散見された。更にはパリにそっくりなグランディーバの品種まで販売され、今の花ものカランコエはまさに百花繚乱である。


ピンクパリPink Paris
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マドリッドMadrid
マドリード IMG_8927.JPG


今は亡きフォーエバーピンク
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クイーン・ローズとして購入した極端な多重咲き、もはやペンタグラムである
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街角のカランコエ;ブリオフィルムの侵食 [others]

 最近所用があって杉並区のある街へ度々足を運んでいる。都内屈指のスピリチュアル・タウンであるその街は、名だたる新宗教がひしめき合い、精神世界の先駆け的存在の施設が今も健在で、散在する雰囲気の良いカフェはサブカル的な会話に満ちている。また一般的にはあまり知られていないが、かつては実力ある武術家が集っていたこともある。
 ここは私がまだ若い頃、道を求めて仲間と語り合った思い出の地である。現在(いま)の自分は、あの頃に憧れた腕前になっていると言えるだろうか。立場的には夢見たところにいるかもしれないが、実が伴っているとは言い難いのではないか。そんな思いがよぎり、この町へ来ると昔の見果てぬ夢が疼く。

 そして現在はまた別の夢を追って新たな道へ踏み出している。それがこのブログのタイトルなのであるが、最近はKalanmaniaというよりBryomaniaを目指しつつある。そんな趣向で見たとき、この杉並の街ではKalanchoeよりもBryophyllumの方が目についたのでスナップしてみた。


クローンコエKalanchoe laetivirensは開花後に枯れることなく、花序に生じた不定芽が巨大に育っている
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別な場所ではサボテン達の鉢が侵食されていた
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住宅地にはやたら葉の細長いシコロベンケイKalanchoe daigremontianaや
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普通のセイロンベンケイソウKalanchoe pinnataが見られ
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センスの良い服飾・雑貨の店にはセイロンベンケイ“マジックベル” Kalanchoe pinnata “Magic Bell”
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しゃれた雑貨店にも不死鳥“Hybrida”が入り込む
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ネパールカレーの人気店には珍しくKalanchoe×houghtoniiが
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毒グモの過ち [flowers]

 先般はロゼイで今回はローズの話である。実は長いこと当ブログを読んでくださっている方々に、お詫びしなければならないことが発覚した。
 今まで度々「アフリカン・ローズ」という品種名で紹介したり掲載してきた花卉カランコエであるが、実は別の品種だったことが分かったのだ。
「皆さま申し訳ありません。」

 思えばもっと早く気づいても良かったのだが、このカランコエを購入したとき巷では(??)クヌート・イェプセン社のアフリカンシリーズが出回っている雰囲気があった(雑誌などで見る限り)。そのため買ったカランコエのローズ・ピンクの花色を見て、全くの先入観から勘違いしてしまったのだ。そして改めて振り返ると、この時期に実際にアフリカンシリーズを見たことは一度もなかったのだ。
 アフリカンシリーズは種苗登録の記載を見るとブロスフェルディアナ系の品種とKalanchoe laciniataを交配して育成したもので、葉はラキニアータの特徴が良く出た(基本的に3裂の)欠刻葉である。本物の「アフリカン・ローズ」も花色はローズ・ピンクで、当時のクヌート・イェプセン社の記事で見た記憶がある。
 なのでそんな時期に花屋で見かけた欠刻葉のカランコエを先入観でアフリカンシリーズと思い込み、開花すると花色からアフリカン・ローズと「同定」してしまった。

 実際のところ、この植物のタグには「タランタシリーズ」と書いてあったのだ。そのこと自体は覚えていたのだが、発売元が「頭の良くなる花」の小林花卉さんだったので独自に名前を付けたものと(これまた)勝手に解釈してしまった。 ところが最近、部屋を整理していてそのタグを発見した。すると育成者は(クヌート・イェプセン社ではなく)KPホランド社と記されているではないか!
 私の購入した植物は、デンマークではなくオランダの会社が展開していた“Taranta”という商標のカランコエだったのだ!!

 それにしてもこんな恥ずべき思い違いや間違いを、堂々と載せてきた自分が情けない。また一歩マニアへの道が遠のいた気がする。下記の記事が間違えたものです(よりによって最多出場の種のような)。
薔薇色の名前;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2013-12-01
冬もみじの混迷;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2014-11-03
冬は無慈悲な死の女王;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2015-02-14
うろこの葉;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07

 Tarantaというのはタランチュラのことで、切れ込みの多い葉が茂ったさまを蜘蛛に見立てたのかもしれない。タランチュラというのは本来イベリア半島(スペイン・ポルトガル)に生息し、咬まれると踊りだすと言われた毒グモで、日本ではコモリグモ属に相当する。コアなペットショップで見かける巨大で毛深いオオツチグモ(トリトリグモ)のことではない。ちなみにヨーロッパのカベヤモリはTarentolaである。

 さてクヌート・イェプセン社のクイーン・カランコエのアフリカンシリーズの葉は良く見るとヒメトウロウソウKalanchoe ceratophyllaに近く葉の先端は丸みを帯びている。葉先の尖ったタランタシリーズとは雰囲気が違う。これに近いのは最近出回っているカランコエ・ボヌールである。ボヌールBonheurは幸福の意の仏語だが、このスペルでネット検索しても育成者が分からなかった。
 一方KPホランド社のタランタシリーズはいまだ健在で八重咲の品種も出ており、もしかしてこれの日本での販売名がボヌールなのか?というような憶測をしてしまうのであった(これはあくまで想像なので情報ではありません、念のため)。
 因みにボヌールBonheurの品種登録者の名称はNubilus B.V.となっていて、会社名については分からない。


タランタシリーズのタグ
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ボヌールのタグ
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子宝草目録2-⑦ Suffrutescentes/バラの鋸歯 [taxonomy]

 前々回からの続きでロゼイの変種のうち基変種を除いた鋸歯が目立つ一群について見てみる。Kalanchoe rosei ssp. serratifoliaの一群である。この仲間は自然交配種と考えられるリショーイKalanchoe ×richaudiiやラウイ“rauhii”を含めてマダガスカル南東部の辺りに集中して見つかっている。この仲間を(インサイダー情報なしに)区別するのは混乱の極みである。

 まずはセラティフォリアK. ssp. serratifoliaとバリフォリアKalanchoe rosei ssp. variifoliaの差異であるが、前者は葉柄が不明瞭で鋸歯も葉柄近くにはない。後者は明瞭な葉柄を持ち、葉縁全体に鋸歯がある。以前書いた記事ではShaw(2008)に従ってラウイ“rauhii” = variifoliaと紹介してしまったが、これは将来訂正されるであろう。(参考:カランコエ・ラウヒー(ラウイ)http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15


セラティフォリアK. ssp. serratifolia 葉柄近くに鋸歯はない
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バリフォリアKalanchoe rosei ssp. variifolia 葉縁全体に鋸歯がある
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 では以前は亜種セラティフォリアの変種とされ、取りあえず現在はロゼイの変種とされているseyrigiiはというと、取りあえず下の写真のようなものとされていたが、
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どうやらこれもバリフォリアvariifoliaのひとつの型か、もしくは未記載の変種あるいは交配種の類であろう。ちなみにこの植物は葉をちぎって土の上に伏せて置いても不定芽を生じるまでに非常に時間がかかる。私も試みたが、不定芽が生成されるまでに1か月以上かかっている。本物のseyrigiiについてはここでは書けない事情があるので割愛する。


下の写真の植物も見かけるがこちらはセラティフォリアの一型だろうか。
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花を見るとロゼイに近く、不定芽も良く生じる。
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 さて、残るは自然交配種のリショーイK. ×richaudiiとラウイ“rauhii”であるが、両者ともマダガスカル南東部で採集されており、前者はトラニャロTôlanaro産(原記載ではTalanaro)、後者は新種記載されておらず詳しい産地は不明である。ラウイは以前書いたようなK. rosei ssp. variifoliaではなく別種であり、出回ってはいるが未記載種なのだ。なので学名はなく、かといって正式な栽培品種名もないため、ここではとりあえず“rauhii”と表記している。ヨーロッパでは“Lucky Bells”として流通していると言われるが、花と葉を見ると微妙に異なる2型があるように思える。
 リショーイもラウイもロゼイ×錦蝶と考えられているが、次のような差がある。リショーイはラウイと比較すると葉身が割合として細長く、葉柄は不明瞭、鋸歯は葉縁全体にはなく、花弁の先はフェッシェンコイのように開く。


ラウイ“rauhii”(上)とリショーイK. ×richaudii(下)の葉は微妙に異なる
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ラウイ“rauhii”(上)とリショーイK. ×richaudii(下)の花
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 ロゼイの仲間については消化不良気味ではあるが、この程度に止めたい。

子宝草目録2-⑥ Suffrutescentes/バラの一族 [taxonomy]

 長々と続けているSuffrutescentesの仲間であるが、今まで紹介したラクシフローラ種群に対してもう一方にロゼイroseiの仲間が知られる。但しラクシフローラの1群は単系統だろうが、ロゼイの仲間もそうだとは限らない。

 それと「ロゼイ」と書いてしまっているが、この種小名は米国のベンケイソウ科研究者として名高いJoseph Nelson Roseに由来するから「ローズィ」と読む方が正しい。(学名を英語読みしてラテン語読みに批判的な人々もいるが、これならどう転んでも英語読みなので「正しい」と書いても異論はないだろう。)しかし極めて個人的な理由だが、ローズィと呼んでしまうとこのブログのアイコンの子と被ってしまうのでロゼイと呼ぶことにしている。
 人名などの固有名詞はラテン読みや英語読みではなく元の言語の発音に従うのが原則なのでなるべくそうしたいが、すでに定着している呼び名(敢えて和名とは言いません)はここでもそのまま使っていたりする。マンギニーとかベハレンシスとかだ。大体人名も地名も元の言語が何かは分かりにくいし、発音となるとなおさらである。なので適度に折衷しながら多少はこだわりを持ってやっていこうと思う。

 最初から脱線してしまったが、実はこの仲間について書くのは気乗りしない。現在ロゼイ種群のレビジョンが行われていて、現在の種分類が少なからず変更になるという一種のインサイダー情報を知ってしまったからだ。発表前なので当然この情報は公開できず、悪いことにアクシデンタルな理由で発表時期が未定になっている(ヘタをするとずっと公開できないかも知れない!)。[こういうことを書きっぱなしというのもいやらしいので、その内容について概要を知りたい方は、ICNのKalanchoe roseiの項を御参照下さい。]

 というわけで仕方ないから現状の分類に従ってサラッと紹介するに留めたい。以前書いたことの繰り返しになるが現状、ロゼイは4つの亜種や変種に分けられる。それとは別に交配種も知られる。
・Kalanchoe rosei(以下4つが亜種と変種)
  Kalanchoe rosei ssp. rosei
  Kalanchoe rosei ssp. serratifolia
  Kalanchoe rosei ssp. variifolia 
  Kalanchoe rosei var. seyrigii
・Kalanchoe ×richaudii(交配種)
(このうちserratifoliaとvariifoliaはShaw(2008)が変種にステイタス変更した、がここでは元のまま亜種としておく)

 基変種ロゼイK. rosei ssp. rosei(とK. rosei var. seyrigii)はマダガスカル中南部に分布している。現在は鋸歯が比較的浅く披針形の葉を持つものが基変種のロゼイとされている。花はラクシフローラに比べてスリムである。国内でも宮古島では帰化しているようだ。たまにこれを不死鳥と誤認していることがある。
 Suffrutescentesでもラクシフローラ種群は葉を切り取って土の上に置いておくと葉縁に不定芽を生じる。状態次第では茎についたままでも不定芽が形成されるが、稀である。その点ロゼイや以前紹介したラウイは葉を切り取らなくとも不定芽をつけることが多い。勿論通常不定芽を生じるScandentesやBulbilliferaeといったグループよりは生成頻度は劣るが、それらの仲間と同じようなタイプの不定芽が出来る。
(不定芽のタイプについてはブリオフィルムの系統/葉縁に不定芽を形成するタイプ③ ;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27参照)

 鋸歯の大きなセラティフォリアの仲間については稿を改めたい。

基変種のロゼイK. rosei ssp. rosei(とされているもの)
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ロゼイの花
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タグ:ロゼイ