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ブリオフィルムの系統/葉縁に不定芽を形成するタイプ③ [systematics]

 ヴォワトー体系の子宝草4グループ(進化研体系では3節)には、葉縁に不定芽を形成しない(と思われる)種も含まれる。また、形成するかしないか文献上不明なものもあるが、4グループの9割以上の種・変種は葉上不定芽を生成する。

 一口に不定芽と言っても、大まかに二つのタイプがある。ひとつはシコロベンケイやクローンコエに生じるような形状のもので、これを狭義のbulbilと呼ぶのだろう。この不定芽を本体の葉から外して保存しておき、気温の高い季節に土の上に蒔くと発根、発芽する。勿論、不定芽を生成している時期であれば気温の条件は整っているので、すぐに蒔いてもよいし、敢えて蒔かなくても自然に落下してそこらじゅうで根付くのは多くの人が経験している通りである。
 もうひとつはガストニス・ボナリ(ガストニス・ボニエリ)やセイロンベンケイソウのように普通の植物の芽の形で葉縁から生じてくるタイプだ。これは英語で言えばplantletである。不定芽そのものはadventitious budと言い、その中でカランコエに生じるタイプとしてbulbilとplantletに分けられるということだ。尤も英語圏でも明確に区別している人も余りいないのではあるが。

 4グループにこの2タイプを当てはめると、
Scandentes、Bulbilliferaeはbulbilタイプ
Prolifraeはplantletタイプ
Suffrutescentesはbulbilに近い中間タイプと言える。
こういう視点からすると子宝草のグループ分けは進化研体系よりもヴォワトー体系の方が個人的に便利である。

bulbilタイプの不定芽を形成する錦蝶K. delagoensis
錦蝶P8080022.JPG 

plantletタイプの不定芽:ガストニス・ボナリK. gastonis-bonnieri
ガストニス ボニエリIMG_4947.JPG 

中間タイプの不定芽:フェッシェンコイK. fedtschenkoi
胡蝶の舞錦P1140315.JPG 

面白い事に4グループ(あるいはブリオフィルム節)以外で花の咲いた後の花序に生じる不定芽もbulbilタイプ(マンギニー、ミニアータ、レブマニィ等)とplantletタイプ(Kalanchoe節)、中間タイプ(シコロベンケイ等)がある。但し、この不定芽のタイプと植物自体の系統は余り関係ない。

花序の不定芽bulbilタイプ:レブマニィK. rebmannii
rebmanniiIMG_8727.JPG 

plantletタイプ:クイーンローズQueenRose
欠刻葉クイーンローズ黄花IMG_7646.JPG 

中間タイプ:シコロベンケイK. daigremontiana
コダカラベンケイIMG_1407.JPG 

 ちょっと消化不良気味なので、最後にGehrig et.al.(2001) による核DNAのデータを近隣接合法で処理した系統関係を参照すると、子宝草のグループに限っては進化研体系の方に近い結果が得られている。即ち、ラクシフローラやロゼイとシコロベンケイ・錦蝶が同じクレイドで、セイロンベンケイソウやプロリフェラとガストニス・ボナリはやや離れている。スキゾフィラのデータがないので、黒錦蝶との関係は分らない。また、花序に有毛不定芽を生じるマンギニーやミニアータはひとつのクレイドにまとまっていた。
従って葉上不定芽のタイプだけで分類しても、それはあくまで個人の趣味のレベルで便利かどうかという事だけである。要するに、私がただの自己満足で不定芽のタイプ分けをしたに過ぎなかった!


ブリオフィルムの系統/葉縁に不定芽を形成するタイプ② [systematics]

 「葉縁に不定芽を形成するブリオフィルム」というと表現が長くなるので、これをまとめて便宜的にここだけで「子宝草」と呼ぶことにしたい。「子宝草」というのは実際は流通名なのか、栽培品種名なのか、とにかく一般名ではあるが、Kalanchoe laetivirensの和名っぽく扱われている。だから紛らわしいのであるが、元々このブログでは子宝弁慶(シコロベンケイ)と混同が著しいK. laetivirensを商品名であろうクローンコエと呼ぶことにしているので、「子宝草」を一般名称化してしまっても、ここだけのルールということで御容赦願いたい。
 もうひとつ敢えて「子宝草」の表現を採用した理由は、もう10年以上前だろうか、子宝草資料室という名だったか、この手のカランコエのHPがあって、いろいろな種を紹介していた。当時カランコエ初心者だった自分はそのHPに随分と刺激されたものである。もう存在していないようなので、かつてのサイトを偲ぶとともに敬意を表して「子宝草」と表現したいと思った。
(子宝草サイトの方、万が一ここを見ていたらコメント頂けると嬉しいです。)

 子宝草のうちセイロンベンケイソウをはじめとする何種かは汎熱帯域に広く見られ、いかにもBryophyllum節が世界的に分布しているかのように見えるが、生物地理学的にBryophyllum節の原産地がマダガスカル(+コモロ)であることには異論がない。他の地域では単に帰化植物として蔓延っているに過ぎないが、旺盛な繁殖力のなせる業である。
 そのマダガスカルの子宝草はヴォワトー体系では4グループに分けられるというのが、前回までの話だった。ここからが前回の続きとなる(ということは、今回も前振りが長すぎたようだ)。
 さて、ヴォワトー体系のグループ分けは以下のようになっている。Boiteau et Allorge-Boiteau(1995)を基本として、その後記載された種を追加して種レベルでリストアップしてみる。変種や品種はいずれ別の形で整理したい。

① Scandentes:Kalanchoe schizophyllaスキゾフィラ(シゾフィラと表記することもある)、Kalanchoe beauverdii黒錦蝶、Kalanchoe ×rechingeriライジンガリ、Kalanchoe ×poincarei
② Bulbilliferae:Kalanchoe daigremontianaシコロベンケイ、Kalanchoe delagoensis錦蝶、Kalanchoe laetivirensクローンコエ、Kalanchoe sanctula、Kalanchoe ×houghtonii不死鳥?
③ Suffrutescentes:Kalanchoe roseiロゼイ、Kalanchoe fedtschenkoiフェッシェンコイ、Kalanchoe laxiflora胡蝶の舞(ラクシフローラ)、Kalanchoe marnierianaマルニエリアナ、Kalanchoe serrataセラタ、Kalanchoe waldheimiiワルトハイミィ、Kalanchoe tenuiflora、Kalanchoe ×lokarana、Kalanchoe ×richaudii
④ Prolifrae:Kalanchoe pinnataセイロンベンケイソウ、Kalanchoe proliferaプロリフェラ、Kalanchoe rubellaルベラ、Kalanchoe curvula、Kalanchoe gastonis-bonnieriガストニス・ボナリ、Kalanchoe suarezensisセイタカベンケイ、Kalanchoe mortagei、Kalanchoe bogneri、Kalanchoe macrochlamys、Kalanchoe maromokotrensis
 上記以外に近年記載されたKalanchoe cymbifolia、Kalanchoe humifica、Kalanchoe peltigeraがあるが、グループ分けした場合の所属が不明である。また、近々一部の分類種群でレビジョンが発表されて、若干のステイタス変更と新種記載が行われるようである。論文が発行され、入手したら情報を更新しようと思う。

 上記の体系に対し、以前紹介した進化研体系(湯浅1978「新花卉」98号)では少し違った分類を提示している。
 ここではトウロウソウ亜属Subgenus Bryophyllumとして、その下に①ラキシフローラ節Section Laxiflora、②ガストニス節Section Gastonis、③セイロンベンケイ節Section Pinnata、④ビューベルディイ節Section Beauverdiiの4節を設けている。同じ4グループでもヴォワトー体系とは少し異なっている。
2つの体系を比較すると、下記のようになる。

 Boiteau et Allorge-Boiteau (1995)湯浅(1978)
1Scandentesビューベルディイ節
※但しschizophyllaはキチンギア亜属
2Bulbilliferaeラキシフローラ節
3Suffrutescentes
4Prolifraeガストニス節
セイロンベンケイ節

 総合的に考えて湯浅の進化研体系に1票入れたいところだが、一長一短といったところだろうか。系統学的根拠を無視して自分勝手な都合で言うと、Scandentesは湯浅の体系、Bulbilliferae・Suffrutescentesはヴォワトー体系、Prolifraeは湯浅の体系にすると、頭の中がすっきりする。ここではこれ以上の言及は避けるが、近々各グループに所属する種を列挙するような作業を試みようと思う。

Scandentesの黒錦蝶Kalanchoe beauverdii
黒錦蝶P9040026.JPG 

Bulbilliferaeのシコロベンケイ=コダカラベンケイ(本物)Kalanchoe daigremontiana
コダカラベンケイP6080034.JPG 

Suffrutescentesの胡蝶の舞Kalanchoe laxiflora
ラクシフローラIMG_0053.JPG 

ProlifraeのプロリフェラKalanchoe prolifera
プロリフェラ P5060088.JPG


ブリオフィルムの系統/葉縁に不定芽を形成するタイプ① [systematics]

 昨年8月に「ブリオフィルムの系統/葉上不定芽を形成しないグループ(前篇)」
http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2015-08-08)と題してBryophyllum節の仲間についてアウトラインを述べたが、今度は葉上不定芽を生じるグループについてまとめたいと思う。前回のものと紛らわしいので、タイトルは敢えて表現を少し変えた。(依然として紛らわしい?)

 さて、ドイツのWikipediaを見るとBryophyllum各種がリストアップされていて、多くの種が掲載されている。一方、このブログでもヴォワトー達Boiteau et Allorge-Boiteauが“Kalanchoe de Madagascar”(1995)でブリオフィルムを7グループに分けた内容を紹介したとき大体の種を網羅した。このときと、Kitchingia節を紹介したときを併せて、更に今後リストアップする子宝草シリーズを加えても、ドイツWikipediaのリストから漏れてしまう種が3種ある。Kalanchoe germanae、K.bouvetii、K.adelaeである。
 本当は以前の記事で最初に触れておけばよかったのだが、仕方ないからここで説明しておこう。Wikipediaに載っている例外3種のうち2種はBryophyllum節ではない。Bryophyllum節は基本的に全種マダガスカル産で下垂型の花が咲くグループだが、K. germanaeはタンザニア産で花も上向きに咲いて、何故Wikiにリストアップされたのか全く分からない。K.bouvetiiはマダガスカル産だが花は上向きで、グロブリフェラなどと同グループに属す。両種ともにKalanchoe節である。
 残る1種K.adelaeはDescoings(2003)を見る限り、見落としのBryophyllum節のようだ。花は下垂型らしい。本種はマダガスカル近傍のコモロ諸島(シーラカンスで有名)に産する。ここにもBryophyllum節が分布していることは盲点だった。Boiteau et Allorge-Boiteau(1995)はマダガスカル以外に分布するカランコエをグループ分けしていないから、彼らの分類ではどのグループに入るのか示していないが、この本にはシノニムのK.floribundaでの記述があり、彼らはこの種をkalanchoe節としている。Descoings(2003)のいう通り実際はBryophyllum節だったとしても、ヴォワトー体系のCentralesに入るか、1種で別のグループを形成するのかも不明である。取りあえず葉縁に不定芽を形成するという情報がないので、ここで紹介する子宝草関連グループからは外しておきたい。

 ドイツのWikipedia情報以外に目を向けると、もう1種、K.alternansをBryophyllum節とする情報もある(Descoings, 2003)が、本種はアラビア半島産で花も下垂型ではなくBryophyllum節でもない。Descoings(2006)では新亜属Calophygiaとしているが、元の所属はBryophyllum節でなくKalanchoe節としている。というわけで、これも気にしない事にする。
 個人的にひとつ気になるのはヴィギエリK.viguieri(月兎耳や仙女の舞のグループ)も下垂型の花を咲かせることである。ICNの解説ではこれをBryophyllum節としているが、見ていて直感的にブリオとは思えない。3節(または3亜属)が明確に分けられず、中間の特徴を持つ種があると言われるが、このヴィギエリやK.mandrarensisの存在をいうのであろう。

 さてさて、前振りに先んじる前置きが長くなってしまったが、ここで扱うBryophyllum節は温室の雑草として多肉マニアには忌み嫌われている子宝草の仲間である。つまり葉縁に不定芽を生じてやたら増えるタイプのもので、いつの間にか我が家にも多数はびこっている。多少の意図も働いて、気が付けばそこそこのコレクションとなっていた。先に紹介した葉縁に不定芽を生じないグループは花が美しく好きであるが、コレクションしようとまでは思わない。とはいえ花序に独特の有毛不定芽を生じるマンギニーやミニアータなどは面白いと思う。
 今回は前に代表種をリストアップしなかったヴォワトー体系の残り4グループのBryophyllum節が対象となるが、ちょっと長くなってしまったので今日はここまでにしておこうと思う。

温室の雑草、と言えば不死鳥か?
IMG_2824.JPG 

ハカラメの元祖セイロンベンケイソウK. pinnata
IMG_1155.JPG 

最近は子宝弁慶とかハカラメというと
このクローンコエK. laetivirensのことと思われてたりする(苦笑
IMG_7433.JPG 

Remaeks;
Recently I was aware the setting of comments in this blog was limited only in Japanese. Now I’ve changed the setting to enter the alphabet sentences.


ブリオフィルムの系統/分岐した心皮 [systematics]

 似非マニアの私がどうにも持て余していたBryophyllum節 とKitchingia節だが、この冬何種かの花を解剖していて気付いたことがあった。こうしてちょくちょく「気付き」みたいなことを書くと、自分も身体技法に走り過ぎる武術家になったみたいで嫌なのだが、今度は本当に自らの疑問に決着がついたと思っている。

 Kitchingia節の代表格(のひとつ)であるグラキリペスK. gracilipesの花を分解してBryophyllum節のlaxifloraやuniflora, roseiと比較し、雄蕊が子房由来か花弁由来かを見ていた。以前書いたブログではこの違いが唯一、Bryophyllum節 とKitchingia節を分ける形質かと思われた。(ブリオフィルムの系統/葉上不定芽を形成しないグループ(後篇)参照)
 確かに葉上不定芽を形成しない代表のunifloraを含め、見た限りのBryophyllum節では雄蕊は子房に付いているように見える。一方グラキリペスK. gracilipesの雄蕊は花弁に付いていた。もっとも私自身が花の解剖に付いてまともな知識があるわけではないので、花糸が子房の心皮由来なのか花弁由来なのか理解していない可能性もあるが...
しかしこの形質の差異だけが2節を分ける表徴だとすると、なかなか難しくもあり、不便でもある。

左からグラキリペスK. gracilipes、ウニフローラK. uniflora、ロゼイK. rosei var. seyrigi、シコロベンケイK. daigremontianaの花
graci,uni,ros-sey,daiIMG_8013.JPG 

上の花を分解したところ。左端のグラキリペス以外は花糸が子房に付いている
graci,uni,ros-sey,daiIMG_8017.JPG 


 だいぶ引っ張ってしまったが、グラキリペスの子房を見てふと気付いたことがあった。カランコエは雌蕊が4本だから子房も4裂しているのだが、Kalanchoe節やBryophyllum節では子房に十字の溝があって4裂しているのに対して、Kitchingia節では子房自体がパックリと4つに分れているのだ。
 以前載せたテッサの花の解剖写真(http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04)も同様に子房は4つに開いている。テッサはグラキリペスK. gracilipes×紅提灯K.manginiiの交配種でKitchingia節×Bryophyllum節だが、Kitchingia節の形質が色濃く残っているということだろう。

 そこでヴォアトー体系のKitchingia節に属する種の子房の形を見ると、ペルタータK.peltatasとK.campanulataも4開裂(注:表現を4裂と区別した)していた。Kitchingia節の残りもう1種のK.ambolensisだけは資料がなくて分らなかった。
 一方Bryophyllum節の花も現物、文献の図版、web上の写真等を漁ってできる限りの種を確認したが、全ての種で4裂しているだけで開裂はしていなかった。これらはいちいち花を解剖しなくても、雌蕊が真ん中に集中しているか、分散しているかを見れば違いが分かる。

上記の花を覗くと、写真では分りにくいが雌蕊の集中と分散が見て取れる
graci,uni,ros-sey,daiIMG_8014.JPG 
子房だけ取り出すとグラキリペスのみ雌蕊4本が開裂している
graci,uni,ros-sey,daiIMG_8019.JPG 

 そこでこの事に関する記述を探すと、進化研関係やDescoingsの著述では見つけられなかったが、ヴォアトー(Boiteau et  Allorge-Boiteau,1995)はかなり目立つ所でこのように記していた。
≪引用始め≫
Le genere Kitchingia Berg. est nettement caracterrise par la divergence des carpelles.
≪引用終り≫
 マニアを目指しているならこれ位読んどけ、と諸先輩方には思われそうだが仏語は読めないのだ。でもある程度英語が分かれば、上記の説明も察しがつきそうなものだ。要するにKitchingia属は心皮が明確に分れるということだが、「Kitchingia属」ということはこれを記載したBerger 自身がこの形質をもとにKitchingiaをKalanchoeから分けたのだろうかという新たな疑問が浮かぶ。Bergerの1930年のこの有名な文献をまだ見ておらず、見ても独語は全く分らないのでお手上げかもしれない。

 ともあれヴォアトーのこの分類形質で2節を分けるという主張は明確で、納得できる。進化研の体系も魅力を感じるが(個人的に好みだ、都合が良いということもある)、ヴォアトー体系も十分説得力のあるものだった。もっとも、節をどのように捉えていたかがはっきりしたというだけで、これが節(または亜属)の根拠として妥当かは別問題である。種以上の上位分類は乱暴に言ってしまえば任意なので、根拠が明白であれば素人にとってはそれでよい。
 これで今までもやもやしていたものが晴れ、今日から暫くは安心して眠れそうな気がする。


ブリオフィルムの系統/葉上不定芽を形成しないグループ(補遺) [systematics]

 先般書いた記事でBryophyllum節とKitchingia節の境界の曖昧さは埋められなかったが、最近たまさかヨングマンシーKalanchoe jongmansii(人名由来なのでヨ(ン)マンシィと呼ぶべきか?)の花の解剖写真を見せて頂く機会があった。それを見るとヨングマンシーの雄蕊は花弁の基部に付いているように見える。まるでKalanchoe節かKitchingia節のようだ。
 少し脱線するが、そもそもヨングマンシーの花はベル型と言って良いのだろうか。形はそれっぽい気もするが、下垂型ではない。しかしGehrig et.al.(2001)( Plant Sci. 160 :827-835)の系統分類的な論文を見るとプベスケンスK. pubescens、ミニアータK. miniata、マンギニーK. manginii等に近縁という結果が得られている。この結果を表したフェノグラムには疑問の余地はあるものの、大きな傾向としてKalanchoe節、Bryophyllum節、Kitchingia節のグレイドはまとまっているように思える。

 マンギニーも萼は小さくBryophyllum節っぽくはないが、ここであることが気になった。2003年に信山社から出版された 「生きぬく 乾燥地の植物たち」で進化生物研の著者の方がKalanchoe、Bryophyllum、Kitchingia(この本では亜属として扱っている)の3者の違いをこう述べている。

◆花の咲き方:Bryophyllum、Kitchingiaは下向き、Kalanchoeは上向き
◆萼の形状:Bryophyllumは大きく、Kitchingiaは小さい、Kalanchoeは小さいか大きくても深裂
◆不定芽:Bryophyllumは葉縁、Kitchingiaは花序に生じ、Kalanchoeは葉柄から発芽・発根

 これを見たとき大きな違和感を覚えた。Kalanchoeの中にも花序に不定芽を生じる種はあるし、Bryophyllumにも葉縁に不定芽を生じないものも多い。萼の大きさも以前述べてきた通りである。
 しかしヨングマンシーがきっかけではたと気付いた。ヨングマンシーをはじめ、マンギニー、レブマニィー、ミニアータなど花序に不定芽を生じるBryophyllumはどれも葉縁に不定芽を生ぜず、萼が小さい。これらはKitchingiaと見なされているのではないかと。
 
そこで「新花卉」98号(1978)に掲載された進化生物研の湯浅浩史先生のカランコエ亜科の記事を引っ張り出してみると、元ネタは分からないが(Bergerか?)湯浅体系では先にあげた種群はKitchingiaになっていたのだ!
それにはヴォアトー体系(Boiteau et  Allorge-Boiteau,1995)のCentralesとEpidendreaeだけでなく、Scandentesに分類されながらも葉縁に不定芽を形成せず花序に不定芽を生じるスキゾフィラK. schizophyllaなんぞもKitchingiaに分類されていた。(ブリオフィルムの系統/葉上不定芽を形成しないグループ(前篇)参照)
 ちなみに進化研体系(ここだけで使う仮称)では、先の「生きぬく」同様にカランコエ属の下に3節ではなく、3亜属とし、それぞれの亜属の下に幾つかの節を設けている。これらは大体はヴォアトー体系に近いが前述のような違いがある。
 素人考えではあるが進化研体系の方がすっきりと説得力を感じるが、今後分子系統の研究が進むまで結論は延ばすしかない。それまでは世界的な趨勢に従い、本意ではないが本ブログではヴォアトー体系に従っておくことにしたい。
 ついでながらヴォアトー体系のKitchingiaに相当するグループは下記の通りである。
① Sylvaticae:Kalanchoe gracilipesグラキリペス、Kalanchoe peltataペルタータ
② Campanulatae:Kalanchoe ambolensis、Kalanchoe campanulata

国内でKitchingiaは殆ど見られないが、花卉として見られるグラキリペスK. gracilipes
gracilipes.JPG 
形状は全く違うが、グラキリペスに似た花の咲くペルタータK. peltata
peltata.JPG 


タグ:Kitchingia
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