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ユエリの謎 ~自己解決~ [taxonomy]

 少し前に黒錦蝶の記事でユエリKalanchoe beauverdii var. jueliiの学名の謎について大言壮語を宣ってみたものの、その後自己解決してしまった。
(子宝草目録1-③ Scandentes/鉾型葉形とハイブリッド:http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2016-11-10)
 要するに単に植物の知識不足だったわけだが、そのまま放っておくのも恥ずかしいので、早めにここで言い訳しておきたい。

 さて、ユエリの謎とは以下のようなものである。
「疑問と言えばDescoings(2003)もThe Plant Listもこのタイプの変種名を「juelii」としているが、Hamet & H.Perrier (1914)の原記載を見るとスペルは「jueli」である。(中略)この辺の命名規約上の問題がありそうだが、ユエリが種や変種として認められていない現在、解決しようとする者は誰もいない。」
ここで私は二重の勘違いをして、この学名の差異を不思議に思っていたことが分かった。

勘違い①
 植物の学名で人名由来の種小名はその元となる人名をラテン語化して語尾に-i(-e)を付ける。動物の場合は単に人名の後に-i(-e)を付けるだけなので、Hamet & H.Perrier (1914)の原記載での学名のスペル「jueli」がおかしいとは思わなかった。
 しかし植物の学名ではこの種小名(や変種名)の由来元となったウプサラ大学のHans Oscar JuelのJuelをJueliusとラテン語化した上で接尾辞の-iをつけるため、「juelii」となるのが正しかったのだ。

勘違い②
 国際動物命名規約(International Commission on Zoological Nomenclature; ICZN)では原記載論文で発表された学名はそのスペルが間違っていようが、ラテン語の文法上間違っていようが、それが正規の学名として採用される。ところが国際植物命名規約 (International Code of Botanical Nomenclature; ICBN; ウィーン規約、現在は国際藻類・菌類・植物命名規約 International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants; ICN; メルボルン規約 になっている)では第23条や第60条により文法上不適切な語尾は修正されてしまうのだ。
 それで原記載のスペル「jueli」は「juelii」に修正されたのだが、この点が動物畑出身の自分には分かっていなかった。

 つまり「jueli」と「juelii」の違いは植物の学名について多少の知識があれば、謎でも何でもない事象だったのだ。私が植物も動物も概ね同様だと思い込んだために恥をさらしただけの話であった。大体同じルールで命名されるなら規約を分ける必要はない。それをわざわざ分けているのだから少しは調べればよいものを、情けない限りである。
 またしても容易ならざる植物マニアへの道を思い知った。

ユエリKalanchoe beauverdii var. jueliiの変わり葉
G jueliiIMG_0999.JPG


タグ:ユエリ