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ブリオフィルムの系統/葉上不定芽を形成しないグループ(後篇) [systematics]

 一回休みが入って後編では、Bryophyllum節とKitchingia節の相違にもう一度挑戦してみたい。
この2節の違いは一般的なものとして葉上不定芽を形成する(ブリオ)かしないか(キチン)だが、形成しないブリオフィルムには通用しない。残る違いは、
Bryophyllum節 萼は半分以上合着し花冠(花筒)を半分以上覆う、花冠は真直ぐか舷部でやや開く
花糸は花冠の基部に着く
Kitchingia節 萼は花冠より極めて小さく深裂する、花冠は裂片が短い
花糸は花冠の中ほど、または上部に着く
ということになる。
 しかし前回紅提灯とエンゼルランプ(共にBryophyllum節)の花の写真を載せたとおり、このグループの萼はかなり小さい。紅提灯は萼の深裂が大きいがエンゼルランプやウェンディではKitchingia節に準じて浅い。花冠の裂片も大同小異だ。
サンプルとして下記写真の萼と花冠を御覧下さい。Bryo vs Kit comp.png

 となると両節の区別は極めて難しく思えた。そして最後の望みは花糸が花冠の基部に着くか中~上部に着くかに託された。花糸というのは葯(花粉嚢)と共に雄蕊を形成する糸状の部分の事だ。ちょっと材料に難があったが、取りあえず手元で咲いていた花を解剖して見た。

葉縁不定芽を形成しないK.'Zebedi'(多分)(左)と形成するフェッシェンコイK. fedtschenkoi(右)
花筒と萼を比較する限り、'Zebedi'はKitchingia節のように見えるIMG_2397.JPG

しかし、中を見ると双方とも雄蕊は子房の辺りから生じている
(上の写真とは花の並びが左右逆なので注意)IMG_2416.JPG

Kitchingia節の代表、K.gracilipesの生花がなかったので乾燥したものを見てみる
流石に写真では良く分からないが、現物では花糸は子房にまで達していなかったIMG_2404.JPG

ではK.gracilipesを片親とする交配種テッサではどうか見てみる
これも分かりにくいが、花糸は子房に付かず、花筒に付いているIMG_2722.JPG

最後にKalanchoe節のプミラK.pumila(右)とフェッシェンコイK. fedtschenkoi(左)を比較
やはりプミラでも花筒から花糸が生じているIMG_2413.JPG
 

 あり合わせの材料で大ざっぱに見ただけだが、結論としてBryophyllum節とKitchingia節の相違は花を分解して花糸を見る以外は区別がつかないのではないだろうか。もっと多くの種で比較すると、それすら怪しくなる可能性はあるが、取りあえずの見解という事で自己満足することにした。
 分子系統学的に見た場合、Mort et al.(2001)ではこの2節の相違の結論が出ていない。やはりその後の研究が示す通り、2節を完全に分ける事は困難、というより無意味なのかもしれない。


※日頃より当ブログを御閲覧頂き、有難うございます。
今後私事で多忙になるため、暫くの間ブログの更新をお休みさせて頂きます。
そのうち再開しますので、また宜しくお願い致します。

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