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カランコエとブリオフィルム④:その後の展開-1 [systematics]

 カランコエ~、とか声を大にして叫ぶブログを目指しているが、ふと気付くとブリオフィルム節の記事ばかり多く書いている気がする。ブリオフィルム節もカランコエ属だから良いのだが、もっとカランコエ節の記事を書こうと思っている。思ってはいるが、いつも何とはなしにブリオの話に走るのである。ここで気がついたのだが、自分は下垂型の花が好きなのだろう。クリスマスローズやシクラメンに心惹かれるのも、下を向いているからだろうか。ここで、「いや、上を向いて咲く花も相当好きなんですよ」とか言っても取って付けたようで相手にされないであろう。それならばと、今日もまたブリオの話題である。

 ブリオフィルム節に関しては、いつぞやの記事でDescoings(2006)の論文("Le genre Kalanchoe structure et définition”)ではカランコエ属を3節ではなく、3亜属という扱いにしてKalanchoe、Bryophyllum、Calophygiaを提唱したというところまで紹介して、そのまま逃げていた。この論文ではなんやかんやとKitchingiaを却下したわけだが、実体としてはカランコエ属各種の花の構造を比較して分析し、KalanchoeとBryophyllumどちらとも言えないものを集めてCalophygiaとしている。
 花の構造で分析に用いた形質は、花付きの向き、萼、花冠、雄蕊、葯、鱗片、雌蕊である。以前のKitchingiaを単純にCalophygiaに命名変更したわけではなく、Kitchingiaを包括しながら他の2亜属からも花の構造が中間形質のものを容赦なくぶち込んで、大きなグループを立ち上げている。
 WikispeciesからCalophygiaに分類される種のリストを引用すると、下記の種が含まれている。

K. adelae – K. alternans – K. alticola – K. ambolensis –アルボレスケンス K. arborescens –アロマティカ K. aromatica – K. aubrevillei –黒錦蝶 K. beauverdii – 仙女の舞K. beharensis – K. bergeri – K. bouvetii –シルバースプーン K. bracteata – K. campanulata – K. chapototii – K. crenata – K. crundalii – K. curvula –錦蝶 K. delagoensis – ディンクラゲイK. dinklagei – K. dyeri – K. elizae –福兎耳 K. eriophylla –ファリナケア K. farinacea – グラキリペスK. gracilipes –グランディディエリK. grandidieri – K. grandiflora – K. hametiorum –ヒルデブランティ K. hildebrandtii – フミリスK. humilis – K. inaurata – ヨングマンシィK. jongmansii – ランセオアータK. lanceolata – K. latisepala –紅唐印 K. luciae – K. mandrarensis – 紅提灯K. manginii – 江戸紫K. marmorata – ミロティK. millotii – ミニアータK. miniata – K. ndotoensis – K. obtusa – オルギアリスK. orgyalis – ペルタータK. peltata – K. peteri – K. poincarei – K. porphyrocalyx – K. pseudocampanulata – プミラK. pumila – K. quadrangularis – K. quartiniana – ロンボピロサK. rhombopilosa – K. robusta – K. rolandi-bonarpatei – K. schimperiana – スキゾフィラ(シゾフィラ)K. schizophylla – シンセパラK. synsepala – テトラフィラK. tetraphylla – 唐印K. thyrsiflora – 月兎耳K. tomentosa – K. tuberosa – エンゼルランプK. uniflora – ヴィグイエリK. viguieri – K. welwitschii – K. wildii
 雑種: K. × flaurantia – K. × richaudii

 なんという雑多なラインナップだろう。花が知られていないカランコエ・フミフィカは蚊帳の外である。それに以前「カランコエとブリオフィルム②」で紹介したGehrig et al.(2001)の分子系統図によるとカランコエは大きく3~5つのグループに分かれたが、上記のリストはそれがランダムに混ざり合っている。塩基配列のデータも距離行列法の処理如何で様々な結果が出るから、分子系統図が絶対正しいとは全く思っていないが、Descoings(2006)ではそれらの論文は無視されているようで、Gehrig et al.(2001)もMort et al.(2001)も参考文献欄に見当たらない。
 究極的な事を言ってしまえば、分類学もひとつの思想なので遺伝子に頼らず形態学的な考察だけで研究するのも否定はしたくないが、ちょっと寂しい気は否めないのである。
 Calophygiaのリストを載せたおかげで長くなってしまった。続きはまた改めて書くこととしたい。

Descoings(2006).png
論文そのものは仏語が読めればとても面白そうな気がします。


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