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街角のカランコエ;ブリオフィルムの侵食 [others]

 最近所用があって杉並区のある街へ度々足を運んでいる。都内屈指のスピリチュアル・タウンであるその街は、名だたる新宗教がひしめき合い、精神世界の先駆け的存在の施設が今も健在で、散在する雰囲気の良いカフェはサブカル的な会話に満ちている。また一般的にはあまり知られていないが、かつては実力ある武術家が集っていたこともある。
 ここは私がまだ若い頃、道を求めて仲間と語り合った思い出の地である。現在(いま)の自分は、あの頃に憧れた腕前になっていると言えるだろうか。立場的には夢見たところにいるかもしれないが、実が伴っているとは言い難いのではないか。そんな思いがよぎり、この町へ来ると昔の見果てぬ夢が疼く。

 そして現在はまた別の夢を追って新たな道へ踏み出している。それがこのブログのタイトルなのであるが、最近はKalanmaniaというよりBryomaniaを目指しつつある。そんな趣向で見たとき、この杉並の街ではKalanchoeよりもBryophyllumの方が目についたのでスナップしてみた。


クローンコエKalanchoe laetivirensは開花後に枯れることなく、花序に生じた不定芽が巨大に育っている
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別な場所ではサボテン達の鉢が侵食されていた
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住宅地にはやたら葉の細長いシコロベンケイKalanchoe daigremontianaや
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普通のセイロンベンケイソウKalanchoe pinnataが見られ
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センスの良い服飾・雑貨の店にはセイロンベンケイ“マジックベル” Kalanchoe pinnata “Magic Bell”
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しゃれた雑貨店にも不死鳥“Hybrida”が入り込む
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ネパールカレーの人気店には珍しくKalanchoe×houghtoniiが
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毒グモの過ち [flowers]

 先般はロゼイで今回はローズの話である。実は長いこと当ブログを読んでくださっている方々に、お詫びしなければならないことが発覚した。
 今まで度々「アフリカン・ローズ」という品種名で紹介したり掲載してきた花卉カランコエであるが、実は別の品種だったことが分かったのだ。
「皆さま申し訳ありません。」

 思えばもっと早く気づいても良かったのだが、このカランコエを購入したとき巷では(??)クヌート・イェプセン社のアフリカンシリーズが出回っている雰囲気があった(雑誌などで見る限り)。そのため買ったカランコエのローズ・ピンクの花色を見て、全くの先入観から勘違いしてしまったのだ。そして改めて振り返ると、この時期に実際にアフリカンシリーズを見たことは一度もなかったのだ。
 アフリカンシリーズは種苗登録の記載を見るとブロスフェルディアナ系の品種とKalanchoe laciniataを交配して育成したもので、葉はラキニアータの特徴が良く出た(基本的に3裂の)欠刻葉である。本物の「アフリカン・ローズ」も花色はローズ・ピンクで、当時のクヌート・イェプセン社の記事で見た記憶がある。
 なのでそんな時期に花屋で見かけた欠刻葉のカランコエを先入観でアフリカンシリーズと思い込み、開花すると花色からアフリカン・ローズと「同定」してしまった。

 実際のところ、この植物のタグには「タランタシリーズ」と書いてあったのだ。そのこと自体は覚えていたのだが、発売元が「頭の良くなる花」の小林花卉さんだったので独自に名前を付けたものと(これまた)勝手に解釈してしまった。 ところが最近、部屋を整理していてそのタグを発見した。すると育成者は(クヌート・イェプセン社ではなく)KPホランド社と記されているではないか!
 私の購入した植物は、デンマークではなくオランダの会社が展開していた“Taranta”という商標のカランコエだったのだ!!

 それにしてもこんな恥ずべき思い違いや間違いを、堂々と載せてきた自分が情けない。また一歩マニアへの道が遠のいた気がする。下記の記事が間違えたものです(よりによって最多出場の種のような)。
薔薇色の名前;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2013-12-01
冬もみじの混迷;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2014-11-03
冬は無慈悲な死の女王;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2015-02-14
うろこの葉;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07

 Tarantaというのはタランチュラのことで、切れ込みの多い葉が茂ったさまを蜘蛛に見立てたのかもしれない。タランチュラというのは本来イベリア半島(スペイン・ポルトガル)に生息し、咬まれると踊りだすと言われた毒グモで、日本ではコモリグモ属に相当する。コアなペットショップで見かける巨大で毛深いオオツチグモ(トリトリグモ)のことではない。ちなみにヨーロッパのカベヤモリはTarentolaである。

 さてクヌート・イェプセン社のクイーン・カランコエのアフリカンシリーズの葉は良く見るとヒメトウロウソウKalanchoe ceratophyllaに近く葉の先端は丸みを帯びている。葉先の尖ったタランタシリーズとは雰囲気が違う。これに近いのは最近出回っているカランコエ・ボヌールである。ボヌールBonheurは幸福の意の仏語だが、このスペルでネット検索しても育成者が分からなかった。
 一方KPホランド社のタランタシリーズはいまだ健在で八重咲の品種も出ており、もしかしてこれの日本での販売名がボヌールなのか?というような憶測をしてしまうのであった(これはあくまで想像なので情報ではありません、念のため)。
 因みにボヌールBonheurの品種登録者の名称はNubilus B.V.となっていて、会社名については分からない。


タランタシリーズのタグ
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ボヌールのタグ
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子宝草目録2-⑦ Suffrutescentes/バラの鋸歯 [taxonomy]

 前々回からの続きでロゼイの変種のうち基変種を除いた鋸歯が目立つ一群について見てみる。Kalanchoe rosei ssp. serratifoliaの一群である。この仲間は自然交配種と考えられるリショーイKalanchoe ×richaudiiやラウイ“rauhii”を含めてマダガスカル南東部の辺りに集中して見つかっている。この仲間を(インサイダー情報なしに)区別するのは混乱の極みである。

 まずはセラティフォリアK. ssp. serratifoliaとバリフォリアKalanchoe rosei ssp. variifoliaの差異であるが、前者は葉柄が不明瞭で鋸歯も葉柄近くにはない。後者は明瞭な葉柄を持ち、葉縁全体に鋸歯がある。以前書いた記事ではShaw(2008)に従ってラウイ“rauhii” = variifoliaと紹介してしまったが、これは将来訂正されるであろう。(参考:カランコエ・ラウヒー(ラウイ)http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15


セラティフォリアK. ssp. serratifolia 葉柄近くに鋸歯はない
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バリフォリアKalanchoe rosei ssp. variifolia 葉縁全体に鋸歯がある
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 では以前は亜種セラティフォリアの変種とされ、取りあえず現在はロゼイの変種とされているseyrigiiはというと、取りあえず下の写真のようなものとされていたが、
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どうやらこれもバリフォリアvariifoliaのひとつの型か、もしくは未記載の変種あるいは交配種の類であろう。ちなみにこの植物は葉をちぎって土の上に伏せて置いても不定芽を生じるまでに非常に時間がかかる。私も試みたが、不定芽が生成されるまでに1か月以上かかっている。本物のseyrigiiについてはここでは書けない事情があるので割愛する。


下の写真の植物も見かけるがこちらはセラティフォリアの一型だろうか。
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花を見るとロゼイに近く、不定芽も良く生じる。
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 さて、残るは自然交配種のリショーイK. ×richaudiiとラウイ“rauhii”であるが、両者ともマダガスカル南東部で採集されており、前者はトラニャロTôlanaro産(原記載ではTalanaro)、後者は新種記載されておらず詳しい産地は不明である。ラウイは以前書いたようなK. rosei ssp. variifoliaではなく別種であり、出回ってはいるが未記載種なのだ。なので学名はなく、かといって正式な栽培品種名もないため、ここではとりあえず“rauhii”と表記している。ヨーロッパでは“Lucky Bells”として流通していると言われるが、花と葉を見ると微妙に異なる2型があるように思える。
 リショーイもラウイもロゼイ×錦蝶と考えられているが、次のような差がある。リショーイはラウイと比較すると葉身が割合として細長く、葉柄は不明瞭、鋸歯は葉縁全体にはなく、花弁の先はフェッシェンコイのように開く。


ラウイ“rauhii”(上)とリショーイK. ×richaudii(下)の葉は微妙に異なる
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ラウイ“rauhii”(上)とリショーイK. ×richaudii(下)の花
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 ロゼイの仲間については消化不良気味ではあるが、この程度に止めたい。

子宝草目録2-⑥ Suffrutescentes/バラの一族 [taxonomy]

 長々と続けているSuffrutescentesの仲間であるが、今まで紹介したラクシフローラ種群に対してもう一方にロゼイroseiの仲間が知られる。但しラクシフローラの1群は単系統だろうが、ロゼイの仲間もそうだとは限らない。

 それと「ロゼイ」と書いてしまっているが、この種小名は米国のベンケイソウ科研究者として名高いJoseph Nelson Roseに由来するから「ローズィ」と読む方が正しい。(学名を英語読みしてラテン語読みに批判的な人々もいるが、これならどう転んでも英語読みなので「正しい」と書いても異論はないだろう。)しかし極めて個人的な理由だが、ローズィと呼んでしまうとこのブログのアイコンの子と被ってしまうのでロゼイと呼ぶことにしている。
 人名などの固有名詞はラテン読みや英語読みではなく元の言語の発音に従うのが原則なのでなるべくそうしたいが、すでに定着している呼び名(敢えて和名とは言いません)はここでもそのまま使っていたりする。マンギニーとかベハレンシスとかだ。大体人名も地名も元の言語が何かは分かりにくいし、発音となるとなおさらである。なので適度に折衷しながら多少はこだわりを持ってやっていこうと思う。

 最初から脱線してしまったが、実はこの仲間について書くのは気乗りしない。現在ロゼイ種群のレビジョンが行われていて、現在の種分類が少なからず変更になるという一種のインサイダー情報を知ってしまったからだ。発表前なので当然この情報は公開できず、悪いことにアクシデンタルな理由で発表時期が未定になっている(ヘタをするとずっと公開できないかも知れない!)。[こういうことを書きっぱなしというのもいやらしいので、その内容について概要を知りたい方は、ICNのKalanchoe roseiの項を御参照下さい。]

 というわけで仕方ないから現状の分類に従ってサラッと紹介するに留めたい。以前書いたことの繰り返しになるが現状、ロゼイは4つの亜種や変種に分けられる。それとは別に交配種も知られる。
・Kalanchoe rosei(以下4つが亜種と変種)
  Kalanchoe rosei ssp. rosei
  Kalanchoe rosei ssp. serratifolia
  Kalanchoe rosei ssp. variifolia 
  Kalanchoe rosei var. seyrigii
・Kalanchoe ×richaudii(交配種)
(このうちserratifoliaとvariifoliaはShaw(2008)が変種にステイタス変更した、がここでは元のまま亜種としておく)

 基変種ロゼイK. rosei ssp. rosei(とK. rosei var. seyrigii)はマダガスカル中南部に分布している。現在は鋸歯が比較的浅く披針形の葉を持つものが基変種のロゼイとされている。花はラクシフローラに比べてスリムである。国内でも宮古島では帰化しているようだ。たまにこれを不死鳥と誤認していることがある。
 Suffrutescentesでもラクシフローラ種群は葉を切り取って土の上に置いておくと葉縁に不定芽を生じる。状態次第では茎についたままでも不定芽が形成されるが、稀である。その点ロゼイや以前紹介したラウイは葉を切り取らなくとも不定芽をつけることが多い。勿論通常不定芽を生じるScandentesやBulbilliferaeといったグループよりは生成頻度は劣るが、それらの仲間と同じようなタイプの不定芽が出来る。
(不定芽のタイプについてはブリオフィルムの系統/葉縁に不定芽を形成するタイプ③ ;http://kalanchoideae.blog.so-net.ne.jp/2016-08-27参照)

 鋸歯の大きなセラティフォリアの仲間については稿を改めたい。

基変種のロゼイK. rosei ssp. rosei(とされているもの)
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ロゼイの花
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タグ:ロゼイ

街角のカランコエ;春のインテリアと雑貨店 [others]

 春から初夏にかけて家族に付き合ってインテリア雑貨店を廻る事が多い。そういうとき「○○な生活」とか「□□のある暮らし」といった上品な趣向とは無縁な私は、常に場違いな落ち着かなさを感じて居心地の悪さを満喫しているわけだが、近年こういったオシャレ系の店に欠かせないのが植物である。以前女性の人気を占めていたハーブの地位は既に過去のものとなり、最近はどこの店に行っても多肉、ティランジア、リプサリス、ビカクシダといった4強が置いてある。多肉を除くと着生植物が主流だ。釣り鉢から垂れ下がるものも人気が高いようで、ディスキディアやエスキナンサス、ホヤも良く見かける。
 少しコアな方向へ行くと着生ランやシダなどが登場してくるが、この辺が男女の感覚の境界線かも知れない。床に置く大型鉢ではモンステラやフィロデンドロン、ストレチアといった連中にジェンダーレスな人気があるようで、その他80年代からの定番メンバーが占める。
 そんな中、カランコエの姿を見つけると安堵を覚えるとともに必要以上に魅力を感じてしまう。実際問題として我が家にはこれ以上の植木鉢は(家族に許された)置き場所がない。そこでインテリアショップにいるような連中をそれっぽく室内の明るい場所に配して、冬期の置き場所確保を狙うという案を思いついた。

 雑貨・インテリアショップで見られるカランコエはそれほど多くない。多肉の寄せ植えに紛れているものを除けば、ベハレンシス(各種)・オルギアリス・月兎耳が3強である。次点でプロリフェラなども入りそうだ。これらをいかにもといった鉢に植えて置いておけば、家族の視線も緩むだろう。
 更に着生種やつる性のメンバーもそれとなく室内に飾らせてもらえばかなり面積を稼げるぞっ、ということで今まで興味のなかった路線にも敢えて歩を進めてみようと考えている。

 というわけで先日新たな視線で視察がてら世田谷区・港区方面を中心に何軒かの雑貨・インテリアショップを巡った。上記のような植物はどの店でも見られた。特に人気なのは見栄えのするベハレンシスのようだ。しかしほとんどの店でカランコエは元気ないことが多い。森林の着生植物とは違うので、ショップの店内では光が絶対的に足りない。ベンケイソウ科はせめて窓際に置くべきだ。
着生植物は今一番人気といっても過言でないのであるが、着生多肉のシャコバサボテンは振るわない。昔大流行したので、昭和臭がしてしまうのが原因か。これも時代だろう。カランコエでいえば着生種として有望なのはウニフローラのフィフィ辺りであろうか。分岐させて作れば黒錦蝶の広葉タイプも良さそうだ。個人的にはもっと無理やりにでもオシャレに見えるものを増やさねばならないのだけど。


場違いな窮屈さを感じながらショップを巡る
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感覚を磨くのに勉強になるのはこんな店かも
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 とにかく今まで持ち合わせていなかった感性を磨いて、今後の置き場確保に頑張りたい。
 しかし室内植物も流行りすたりがあるようで、モンステラのような不動の地位を築づけることは奇跡的だ。あまりに流行し過ぎても時が経てば却って古臭くなってしまう。先のシャコバやオリヅルラン、ポトスの例を考えるとティランジアなどは危ないだろうか。大流行しなければ、またいずれ注目される時が来るだろう。この後はひとめぐりしてシダ類やサトイモ科のアグラオネマとフィロデンドロンあたりだろうか。

 カランコエはそれほど流行っているわけではないので、ベハレンシスなどは残ってくれる可能性も高い。但し、ショップで葉の丸まったものばかり売っていたら、時を待たずしてすたれてしまうかもしれない。


やはりカランコエに光を!


存在感あるベハレンシスもさりげなく飾る
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